ドラムカッター式採掘機におけるCANopenの利用
引用元: CANニュースレター(2006年4月)
Eickhoff Bergbautechnik社のドラムカッターは、単一システムソリューションでCANopen とProfibusに対応したモジュール式のCompactPCIハードウェアと Codesys SoftPLCを組み合わせて使用しています。この制御環境は、任意の制御アプリケーション向けに設定されたアプリケーションレディプラットフォームとして購入することもできます。顧客はハードウェアとソフトウェアを統合する時間が省けるだけでなく、独自のCPUカードや入出力アセンブリを使用したシステムのカスタマイズもできます。
ドラムカッターは石炭層の採掘で世界的に高い評価を得ています。ドラムカッターはその設計に応じて、最大1.1mの厚さで石炭を壁面から切削し、ワンパスで6mの高さまで作業できます。ドラムカッターの直径は掘削厚に応じて1.4m~3.2mで、高さ調節が可能です。バラバラになった石炭はドラムカッターの下にあるチェーンコンベヤ上に落下して運び出されます。採掘時の壁面の構造は油圧制御の安全シールドによって保護されます。この重機は最大130メートルトンで、通常、一人の作業者だけで制御できます。
1950年に、Eickhoff社は最初の(油圧運転式)長壁ドラムカッターを開発しました。それ以来、ドラムカッターのシステム構造は大きな発展を遂げ、内蔵された制御機能の高度化も着実に進んでいます。1976年の最初の長壁ドラムカッターには、支持アーム上に電動ウインチと切削エンジンが取り付けられていました。Eickhoff社は、1978年に最初のリモート制御されたドラムカッターを開発し、1984年に最初の高電圧のドラムカッターを開発しました。1990年には最初のリモートマイクロプロセッサがボード上に搭載され、1992年には処理能力をさらに向上させるため、三相交流ウインチを使用して最初のセンサー制御ドラムカッターの試験が行われました。1997年以来、ウインチの回転速度は周波数変換器で制御されてきました。そして、2001年にはEickhoff SL 500が2×825kWの切削能力を実現しました。これは、中型車約16台分の性能に相当します。ドラムカッターの複雑化と高性能化が進むにつれて、制御に求められる要件も厳しくなっています。自動運転、制御パネルへのデータ転送、および石炭層の地質条件に合わせてドラムカッターを調整するリモートインテリジェンスは、今日のシステム技術に不可欠な機能になっています。たとえば、掘削プロセスを制御すれば地質条件や採掘計画に合わせて生産量を最適化できます。過負荷を避け、システムを平衡状態に維持するために、切削装置や送り分力も自動的に調整する必要があり ます。これらすべての機能で、最新の自動車エレクトロニクスと同等の操作性を実現するには、コントローラが不可欠です。これまでは、Motorola 68000プロセッサベースのコントローラが使用されてきました。しかし、このテクノロジの処理能力が限界に近づいたため、開発者は今後長期にわたって使用できる新しい制御プラットフォームを探していました。採掘効率をさらに高めるため、ドラムカッターの開発は集中制御パネルで操作する方向に向かっています。このため、原則的にすべての面でオープンな×86ベースのシステム技術を使用することになりました。他にも、次のようなシステム要件が考慮されました。
- 広く認められた正式な規格
- 設計の柔軟性が高い
- システムの可用性が高い
- 衝撃や振動への耐性が優れている
- 保護ラッカーコーティング
- 0 °C~70 °Cの温度範囲における専用認可
- CANopen およびProfibusインターフェイス
- 最新および旧バージョンにおけるVxWorksサポート
- 既に利用可能なCodesysライブラリがあることが望ましい
- 長期的な可用性
堅牢な産業用PCの大部分は、正式な規格と設計上の高い柔軟性という要件に当てはまりませんでした。これは、この分野で確立された規格がPICMG(PICMG 1.x と PICMG 2.x)しかないためです。PICMG 2.x(CompactPCI)の方が基本的に堅牢な設計であるため、これらの選択も比較的容易でした。機械が小型でスペースの無駄を省く必要があることを考慮すると、3Uのフォームファクタが要件に最適であることがわかりました。ただし、PICMG 2.x準拠の標準IPCを採掘対応システムに組み込むには、いつくかの重要なポイントを検証しておく必要がありました。伝導性があり爆発を起こしやすい炭塵を含む環境における厳しい保護要件に対応するために、この回路基板を保護コーティングする必要がありました。また、システムが採掘時の機械的安定性に関する厳しい要件を満たしていることを確認する試験も同時に実施する必要がありました。DIN EN 60068-2-27試験では、通常の2倍の時間の連続衝撃がシステムに加えられます(30gを18ミリ秒間、通常は9ミリ秒)。振動については、DIN EN 60068-2-6 試験規定により、5 Hz~60 Hzにおける0.35mmの振幅と60Hz~500Hzの周波数における5gの加速度が必要です。これらは産業用途で要求される要件よりも大幅に厳しいものです。また、受動的冷却によりシステム全体で0 °C~70 °Cの動作温度が保障される必要がありました。幅広いVxWorksサポート(最新および旧バージョン)とSoftPLCランタイムシステムにおけるフィールドバスの統合も重要でした。ハードウェア側については、CompactPCIに対応したソリューションを使用すれば、顧客ごとの調整を行わなくても大半の要件を満たすことができました。これは、大半のCompactPCI製品がメーカーによって既により厳しい工業用条件に対応した設計になっていたためです。さらに、特殊な要件を持たないコスト重視のプロジェクト向けのValue Lineもあります。Value Lineシステムシャーシは最も要件の厳しい組立部で使用されました。ただし、ハードウェアにはいくつかの調整を加える必要がありました。たとえば、衝撃や振動に対するより厳しい要件に対応できるように、標準のCP-Pocketシステムシャーシが強化されました。また、変数を保持するバッテリバッファ記憶装置(電力喪失時に制御変数を保持する記憶装置)を開発すると同時に、鉱業規定によりプロセッサボード上のバッテリの使用を避ける必要がありました。CPUカード上に設置された既存の拡張カードには、不揮発性RAM(NVRAM)を備えた小型の「鉱業用」回路が提供されました。鉱業用途であるため、RAMバッテリには直列抵抗が必要ですが、爆発を防止するために回路内で一定の電気距離を維持する必要があります。RAMはプラグ接続されるLCPインターフェイスを介してCPUに接続されます。高速アクセスは必要ないため、この接続方法で十分です。また、必要に応じて、CPUクロックバッテリをCPUボードから取り除き、オーストラリア政府の認証機関であるTestSafe Australiaの世界で最も厳しい要件に対応することもできます。最初のシステムは既に使用されています。その結果、ハードウェアシステムの仕様を比較的速く実装し、他メーカーの同等の標準規格製品と置き換えたり、他メーカーの製品を使用して拡張したりすることが可能になりました。Eickhoff社は標準規格を使用することで可能な限り独立性を確保したいと考えていたため、このこともEickhoff社にとっては重要な意味を持っています。これはCompactPCIシステムが他のIPCシステムより本質的に優れている点です。
アプリケーションレディプラットフォーム
メーカーが提供するアプリケーションレディプラットフォーム対応製品もユーザーには非常に便利です。IPCベースのPLCを構築するのに必要なほぼすべてのコンポーネントを1か所から調達できます。ここでは、同社が完成されたプラットフォームへのインテグレーションを行い、それを製品として維持するシステムインテグレータであることが重要な意味を持ちます。実際には、Eickhoff社のエンジニアはこの分野のノウハウを豊富に持っており、可能な限り独力でインテグレーションを行うため、この包括的なサポートはハードウェアプラットフォームのみで必要となり、SoftPLCのインテグレーションには必要ありません。ただし、他のユーザーの場合、アプリケーションレディプラットフォームは検証済みの機能であり、サービスとサポートに対応した同一のインターフェイスを持っていることを認識しておくことは非常に重要です。必要に応じて、これらにはあらかじめインストールされたデモ制御試験済みのSoftPLCがバンドルされます。また、Eickhoff社はVxWorksリアルタイムオペレーティングシステムを長年サポートしているため、ソフトウェアを変更せずに既存のソリューションに新しいハードウェアを搭載できることも、Eickhoff社にとっては非常に重要でした。
そのため、このソリューションは採掘用途だけでなく、業界内のすべてのロバスト制御開発事業者にも適しています。この新システムは、アプリケーションレディプラットフォームであるため、購入してすぐに使用することができます。PLCプログラミングのAPIは常に同じであるため、新システムにロードするだけで制御アプリケーションを移植できます。制御がさらに複雑になるような場合には、同社の標準コンポーネントとして提供されているプロセッサカードを最新のIntel Core Duoテクノロジに変更するだけで処理能力を高めることができるため、非常に便利です。









