X 線撮影装置でのCANopenの利用(2)

現在の医療機器は複雑で製品化までの時間が限られているため、共通のプラットフォームをベースにした製品開発が不可欠です。Philips Medical Systems社はプロダクトラインに属するすべての製品の進化に対応する戦略としてプロダクトラインエンジニアリングを採用しています。プロダクトラインプラットフォームの成否は、選択するアーキテクチャとその可変性、外部拡張性によって決まります。最新のプロダクトラインプラットフォームの場合、システムではコンポーネントアーキテクチャが優勢となっています。プロダクトラインの開発作業では、コンポーネント開発業者とシステムインテグレータには明確な違いがあります。コンポーネント開発業者は、装置の機能と価格性能比を重視します。コンポーネント開発業者は、価格性能比、コンポーネントに対応した各種システム同士の要件の調整、およびスケールメリットをすべて両立させる必要があります。システムインテグレータは、医療アプリケーションドメインに対応したシステムの開発を重視します。システムインテグレータはシステムの構成単位としてコンポーネントを使用し、一般的な用途に合わせてコンポーネントのパラメータ設定と制御を行います。医療システムは、インターフェイスを介して接続される複数のコンポーネントで構成されています。インターフェイスでは、コンポーネントの内部機能が抽象的に記述されます。同じ機能を複数の方法で実装することもできます。これにより、柔軟性の高い設計が可能になり、変更も容易になります。このように、柔軟な構成を可能にするには、安定性の高い適切なインターフェイスの設計が不可欠です。CANは産業用データ通信テクノロジとしてCAL以来約10年間医療用システムで使用されています。CANが選ばれた要因は、その機能とインターフェイスコストの低さにあります。CANはタイムクリティカルでないコマンドやステータス/イベント通知に対応したコンポーネントインターフェイスとして使用されています。標準化された整合性のあるコンポーネントインターフェイスやプロトコルを提供することが重要です。そうすることで、これらのコンポーネントをさまざまなシステムで使用することが可能になります。他のベンダーの医療用コンポーネントを組み込む場合や、自社独自のコンポーネントをOEM販売する場合には、標準化が非常に重要になります。CANopenはアプリケーションプロファイルを導入することで、コンポーネント開発に貢献しています。CALでは「手順」が定義されているだけですが、CANopenではコンポーネントインターフェイスに関する定義が追加されています。つまり、CANopenはコンポーネント間のインターフェイスを標準化したものであると言えます。コンポーネントの標準化には、次のような利点があります。

  • コンポーネントが明確なインターフェイスで定義される
  • システムの統合が容易になる(より早く)
  • システムの信頼性と信頼性の管理が改善される
  • イノベーションを加速することができる(コンポーネントレベルでのイノベーションが可能になり、システムレベルでコンポーネントのイノベーションを活用できるようになると想定)

CANopen規格を使用すると、システムインテグレータは外部リソースの活用が容易になります(特に、複数のコンポーネントサプライヤがCANopen規格に適合した製品を提供している場合)。そのため、業界の主要な企業と協力して標準化を進めることが重要です。CiAでは、医療用X線業界の主要企業3社(Siemens Medical社、General Electric Medical Systems社、およびPhilips Medical Systems社)と医療用コンポーネントの標準化について協議を始める機会を提供しました。いわるゆX線コリメータ8(10ページの記事を参照)は、CANopenデバイスプロファイルが標準化された最初の医療用コンポーネントです。X線コリメータの基本機能は、X線ビームを患者の検査対象部分に限定する(照準を合わせる)ことです。この3社による標準化プロセスを省みると、標準化対象コンポーネントの概念設計規則をあらかじめ明確にした上でインターフェイスの標準化協議を開始したことが大いに役立っています。

Philips社の医療用システムでは、ユーザーインターフェイス、画像検知、X線発生装置、X線コリメーション、およびジオメトリ(X線システムの機械的可動部分の制御)などの複数のコンポーネントで、共通のデータ通信テクノロジとしてCANが使用されています。他のPC技術(イーサネットやUSBなど)への対応が進んでも、CANには将来の発展性が残っています。

引用元: CANニュースレター(2005年12月)